インクル123号  2019(令和元)年11月25日 特集:共用イベント・十人十色 目次(Contents) H.C.R.2019 十人十色展 報告 2ページ 共用品とイベント 4ページ 誰にでもやさしい街、杉並をめざして 6ページ 本の街で、こころの目線を合わせる 7ページ バリアフリー演劇結社ばっかりばっかり「キョウヨウコウザ」 8ページ キーワードで考える共用品講座第113講 9ページ 第4回「目が見えない・見えにくい私だから考えついた“とっておきのアイディア”コンテスト」表彰式 10ページ 共用品・共用サービス ~実験的導入とデザインコード構築~ 12ページ 欧州と日本の国際福祉機器展の比較から 13ページ 新規法人賛助会員のご紹介とお知らせ 14ページ  新たな視点の創造と標準化に取り組みたい グローブシップ(株)  ISO/TC173総会報告 手で見る絵本、手でたどる世界 15ページ 事務局長だより 16ページ 共用品通信 16ページ 表紙写真:十人十色展 2、3ページ H.C.R.2019 十人十色展 報告  2019年9月25~27日、東京・有明にある東京ビッグサイトにて国際福祉機器展(H.C.R.)が開催され、 共用品推進機構は主催者特別企画コーナーの1つである日常生活支援用品コーナーにて企画・監修を行いました。 経緯と概要  弊機構は2010年から、同コーナーの企画・監修を行っています。 11年までは、展示コーナーを台所、水回り、トイレ、食堂、衣服などに分け、全般的な高齢者、障害者用製品の展示を行いました。 けれども、他のブースには大勢の人がいるにも関わらず、同コーナーには人がまばらでした。  そのため12年からは、タイトルを「片手で使えるモノ展」、「目からウロコ展」、「旅を楽しむ『10のコツ!』と便利なグッズ展」、 「元気に働く10のコツ展」、「マイサイズ!あなたに合わせたモノ展」として行ったところ、多くの人たちが立ち寄って下さいました。 十人十色展  そして今年は、使いやすいアクセシブルデザイン製品のポイントを「十人十色」というタイトルにしました。 十人十色を広辞苑でひくと、「人の好む所・思所・なりふりなどがひとりひとりみな違うこと」とあり、 今回の展示意図と合致しています。  日本産業規格JIS S 0020にあるアクセシブルデザインのポイントに関連する製品を中心に、 H.C.R.出展社から22社50点を選び、衣食住に分けて行いました。 アクセシブルデザインのポイント 本体のポイント ・持ち運びがラク ・扱いがラク ・片手で持てる ・様々な身体特性でも使える 表示のポイント ・見る表示(文字・図・色・形・光) ・聞く表示(音声・音) ・触る表示(凸表示・点字・振動・食感) 操作のポイント ・軽い力で使える ・片手でも使える ・座っても使える ・簡単な操作で使える  各製品にはA5判の説明カードを作り、製品名、価格、製品説明文、出展社名、アクセシブルデザインのポイントに加え、 出展社の小間番号を示し、詳細の説明を受けたい方への情報としました。 来場の感想  今回も多くの方に来ていただき、たくさんの感想をいただきました。  「ここで製品をゆっくり見てから、出展社ブースで購入できたため、とても良かった」、 「子どもも楽しめる所が多く、とても良かった」、「同じものが近くにあり比較しやすい。」  問い合わせとしては、「当日の購入についてここにある製品は出展社ブースで販売はしているのか」、 「出展社ブースにどのように行けば、いいかわからない」など、来年度につながる指摘をいただきました。 パンフレット  このコーナーで展示した製品は、主催者が当日、来場者に無料で配布するパンフレットに全て写真付きで紹介していただきました。 まとめ  今回で、9回目となる展示は、普段とは異なるスペースでの場所となり、例年に比べて立ち寄る人は少なかったのですが、 来場された方々は、一つ一つの製品を説明文と照らし合わせて、熱心に見て下さっていました。 本年の課題を早めに検討し、さらに見やすい展示をできればと思っています。 田窪 友和(たくぼ・ともかず) 図1:趣旨パネル 図2:製品説明カード 図3:日常生活支援用品コーナー「十人十色展」パネル 写真1:十人十色展の様子 写真2:パンフレット 4ページ、5ページ 共用品とイベント  共用品に関するイベントは、共用品推進機構の設立前から、始まっています。今回は、それらのイベントのいくつかを紹介していきます。 共遊玩具  1990年から、目や耳の不自由な子供たちも共に遊べる玩具「共遊玩具」の普及を行う日本玩具協会では、 カタログを配布すると共に、年一度開催される「東京おもちゃショー」で、共遊玩具コーナーを設け流通、消費者に 「知ってもらう」試みを続けています。 12年からは、おもちゃ大賞が制定され、7部門のうちの一つが共遊玩具部門、毎年工夫を凝らした共遊玩具が創出されています。 いろいろなボール  東京飯田橋の東京都社会福祉協議会では以前、多くの福祉機器が並び、機器に「触れる」貴重な機会が提供されていました。 その常設展示と並行して特別展示が定期的に開催されていました。主催者にお声かけいただき、企画したのが 「いろいろなボール、いろいろな子供たちへ」でした。用途による仕様の違い、身体の大きさによる大きさの違い、 身体特性からのニーズにより、鈴やメロディが鳴るICチップが内臓されたボールなどです。今でいう障害の特性に合わせて準備する 「合理的配慮」の原点のような展示会でした。 大活字本、ゲーム・盲人用具  東京神田三省堂の一階ギャラリーで1983年の年末に行った「視覚障害者のための大活字本・ゲーム・盲人用具展」には、 全国各地から多くの視覚障害のある人達が、訪れてくれました。日本点字図書館、小学館、トミー工業の意向を博報堂が汲んだことにより、 視覚に障害のある人にも見やすい展示を行うきっかけにもなりました。 サイトワールド  2006年に第1回が開かれたサイトワールドは、視覚障害者の関係機関で構成される(社福)日本盲人福祉委員会が主催です。 このイベントが開催されたきっかけは、目の不自由な人たちが使用できるように工夫されたモノが専用の福祉用具だけでなく、 一般製品(共用品)へも広がってきたことと、それらが一堂に集まり手に触れることができる機会がなかったことでした。 盲人用具や共用品が展示されている展示会はあるのですが、それぞれの製品は各社のブースごとに点在し、 視覚障害者がそれを探すのは容易なことではありませんでした。  ケージーエス株式会社の社長だった榑松 武男(くれまつ たけお)さん(現 視覚障害者支援総合センター理事長) と、社会福祉法人日本点字図書館の理事長、田中 徹二(たなか てつじ)さんが、 ドイツで行われているサイトシティという視覚障害者向けの製品だけを紹介している展示会を見学し衝撃を受けました。 その衝撃から、日本では展示会だけでなく、視覚障害に関する研究発表、シンポジウム、体験発表等も併催するという 全く新しいイベントを開催しようと、名称も「シティ」から「ワールド」とし、何度も検討を重ね、平成18年に第1回目が開催されたのです。  それから14年、令和元年には第14回のサイトワールドが、同じ場所で時も同じ11月初旬に行われ、 今回も全国各地からこの日を楽しみにしていた多くの人たちが集まりました。 E&Cプロジェクト時代  共用品推進機構の前身である市民団体「E&Cプロジェクト」では、91~92年にかけて目の不自由な人約300名に対して、 日常生活における不便さ調査を行いました。その結果を報告書としてまとめると共に、不便さの解決策を検討しガイドライン化すると共に、 解決された製品の展示を行いました。  93年は、東京銀座のソニービルの7階ホールをお貸りし、視覚障害に関する活動結果と共用品の展示を行い、 全国各地から多くの来場者がありました。  95年には、視覚障害に加え、聴覚障害にも範囲を広げ、同じくソニービルでの展示を行いました。 そして97年には、銀座にある企業等15社に協力していただき、「バリアフリーは銀座から」を行い約20万人もの人たちに来場していただいたのです。 この頃から、E&Cプロジェクトに対して、調査、展示会、講演、執筆、イベントへの依頼が多くなりました。 と同時に、成果も問われるようになり、市民団体から、法人格のある財団法人になったのが99年4月のことです。 共用品推進機構展示室  東京・千代田区にある共用品推進機構の展示室には日本生まれの共用品が数多く並んでいます。  ONスイッチに小さな凸点がついた家電製品、側面にギザギザや凸線が付いたシャンプー、 ボディソープを始めとする触って識別できるパッケージ、冒頭で紹介した「共遊玩具」などが、 「見て分かる」、「触って分かる」、「聞いて分かる」、「操作しやすい」といった分類で並んでいます。  共用品が陳列されている棚の下は空間になっています。これは、車椅子を使用している方の膝が棚の下に入り、 正面から製品を見たり触ったりするための工夫です。製品には、それぞれを説明するパネルがあり、点字の付いた透明シートが付き、 裏返すと字と地の色が黒白反転させてあり、多様な見え方にも応えられるようにしています。この展示室にある共用品も、 展示方法も、共用品という言葉が生まれた91年以降にさまざまな企業や場所で検討された結果です。  共用品は、あらたに共用サービスも念頭におきながら事業を展開していく計画です。 その結果や経過を、共用品の展示室に反映させながら、再度、社会にフィードバックしていけたらと考えています。 星川安之(ほしかわやすゆき) 写真1:いろいろなボール、いろいろな子供たちへ 写真2:サイトワールドの様子 写真3:93年 銀座ソニービル 写真4:97年 バリアフリーは銀座から 写真5:共用品推進機構展示室 6ページ 誰にでもやさしい街、杉並をめざして  今年で7回目になる「すぎなみフェスタ」が11月2日・3日の2日間、JR西荻窪駅から徒歩15分にある桃井原っぱ公園で行われました。 杉並区の産官学の各機関のブースでの事業紹介と共に、飲食店が数多く並び、毎回10万人以上の来場者がある一大イベントです。  その一画にある「杉並区の障害者の権利擁護普及・啓発ブース」では、杉並区の障害者施策課と障害者団体連合会が日頃取り組んでいる事業を、 子供から大人まで多くの人達に、関心を持ってもらうため趣向を凝らした結果、多くの人が足と心をとめ、両日、盛況となりました。 良かったことやモノ  同ブースで今年初めて紹介されたのが、昨年行われた「杉並区で見つけた良かったことやモノ」調査の結果です。 この調査は、杉並区障害者団体連合会に所属する障害当事者団体の人たちを中心に、杉並区内で経験した「良かったこと」をアンケートで集め、 その結果を「食堂・レストラン」、「駅」、「乗り物」等に分け報告書にし、今回は、場面ごとにイラストにしたものがブースに並びました。  さらにこのブースでは、立ち寄った人たちが経験した「良かったこと」を、記入し壁に貼れるように仕組みにしたところ、 これまた多くの「良かったこと」が集まったとのことでした。 「触る」を楽しむ 障害のある人を知るためにアイマスクをしたり、身体に重りをつけたりする疑似体験が世の中では行われていますが、 イベントで行うには衛生面、時間的な制約があり実施は困難です。  このブースで用意したのは、30 cm角のダンボールに手が入る穴をあけたもの4つだけです。 それぞれの段ボールには、形が異なるものを一つずつ入れ、参加する子供たちは、4つの箱の中にあるものを、 手で触るだけであてるのです。中に入っているモノにも工夫がありました。ドラえもん、ピカチューなど、 馴染みのあるキャラクターにしたところ、普段見るだけのキャラクターを触ることでの、新たな発見が伝わっていったのです。 さまざまな見え方眼鏡  テーブルには、触って識別できるシャンプー容器や、家庭用のラップなどの展示が、クイズ形式で行われ、 さらに、さまざまな見え方が体験できる自作のメガネも、多くの人が体験し、 異なる身体特性の立場を考えるきっかけづくりになっていました。 当事者からの話  さらには、それぞれの体験をし終わった後、杉並区在住の佐藤ひとり(さとうひとり)さんと、北田ゆか(きただゆか)さんが 「見えない、見えづらいってどんなこと?」というテーマで、話をします。 毎回、子供たちが白杖を持っている二人の話を食い入るようにうなずきながら聞いているのがとても印象的です。 北田さんが、信号機の色が見えないので、白杖をついている人を見かけたら、今何色かを教えてくれると嬉しいと、 子供たちができることを中心に話してくれていました。  今回、クイズに答えてくれた人には、良かったこと調査結果のイラストのファイルが渡されました。 身近にあるファイルを見るたびに「良かったこと」を思い出してくれればと思います。 星川安之 写真1:良かったこと調査のパネル 写真2:中のモノを触ってあてる 7ページ 本の街で、こころの目線を合わせる 東京神保町にある神保町ブックセンターでは、書籍販売及び軽飲食コーナーの奥に約50名が入れるスペースがあり、 多彩なイベントが行われています。その場所でこの8月から月1回で始まったトークショーのタイトルが「本の街でこころの目線を合わせる」です。  日本は今共生社会にむけて、各種条例、法律、ガイドラインが制定されていますが、対象者や範囲が限られてはいないか? 「〇〇障害に関しては、〇〇の配慮をするべし」といった、画一的な推奨だけが行われていないか? さらには、上からもしくは下から目線にお互いがなっていないか?など、いくつかの?の思いを込めて付けたのが「目線を合わせる」というタイトルです。 会場と同じ神保町にある合同出版では、精神疾患のある当事者が自分の生活を通じて障害を紹介するマンガをシリーズで出版し、 それぞれ多くの同じ当事者、当事者のいる家族、友達、会社の同僚などから、多くの反響が届いていました。  その反響について、マンガを描いている本人と、本人が希望する人とのトークショーであれば、さまざまな「?」を、より多 くの人で共有し、「?」を「!」に変えられるきっかけにならないかとの思いで、神保町ブックセンターの店主である 永礼欣也(ながれ きんや)さんと、合同出版の坂上美樹(さかがみみき)編集長と共用品推進機構とで、何度も検討し、8月23日の第1回目を迎えたのです。  第1回目のTokin(トキン)さんは、自分の解離性障害をマンガで著わしたイラストレーター、そして彼女が選んだ対談の相手は、お笑いの山田ルイ53世(やまだるい53せい)さん。 一度テレビ番組で挨拶を交わした関係でもあり、快諾され当日を迎えました。会場は、当事者及び家族、福祉関係、研究、教育、一般企業、行政などさまざまな立場の人で満席。 緊張気味の会場の空気を2人の入場が一気に和らげました。家に引きこもっていた経験のある山田さんが、 そのきっかけから今までを笑いとともに伝えてくれてからの、Tokinさんとのトークは、 常にお互いがリスペクトしていることが伝わり終始笑いに包まれるも大切なことがしっかり伝わるあっと言う間の2時間でした。  第2回は9月13日、『まいちゃんの双極取扱説明書』のマンガで、自分の双極性障害を紹介したまいさんと、 職場復帰を支援する機関「リヴァトレ高田馬場」のセンター長である中川洋(なかがわ ひろし)さん。 29歳の時、双極性障害と診断されたまいさん、年の近い姉妹がその名のつく本を何冊も購入、 正しい理解に自分だけで向かうのではなく、家族も共有してくれていること、この障害は、 出口のない真っ暗なトンネルの中を歩いているようだが、見方を変えることで、障害と向き合うことができたこと、 寛解への道のりは、階段のように一段一段、登っていくのではなく振り子のように左右にふれているうち、 揺り幅が小さくなることなど、「なるほど!」「へ~!」と思うことがたくさん伝わってきました。 それらについて中川さんは、専門家の立場で、正解・不正解ではなく、その時の状況を分かりやすく解説してくれたことで、 参加者と登壇者のこころの目線が合っていったのです。  今後も続くこのトークショー、こころの目線を合わせに足を運ばれることをお勧めします。 星川安之 写真:Tokinさん(左)、山田ルイ53世さん(右) 8ページ バリアフリー演劇結社ばっかりばっかり 「キョウヨウコウザ」 ばっかりばっかり  バリアフリー演劇結社ばっかりばっかりの看板女優であり全盲の美月(みつき)めぐみさんから、 今年、公益財団法人共用品推進機構が20周年を迎えたこともあり、結社の年一度の公演を8年前に行った 「キョウヨウコウザ」のリニューアル再演をしたいがどうか?との問い合わせをもらい、 その場で賛成したのが、今年の春でした。  美月さんと初めて出会ったのは、彼女がアメディアという視覚障害者のためのIT関連のソフトを開発販売している会社にいた頃です。その時、私が勤務 する玩具メーカーのトミー(現タカラトミー)で、テレビゲームのテトリスを、盤ゲームにする時に、目の不自由な人にも遊べる工夫をして販売することに なり、試作のテトリスのモニター をしてもらったのが、美月さん でした。かれこれ、 30年以上も前のことです。それから、彼女はラジオのDJ、朗読などを行いながら、鈴木大輔(すずき だいすけ)さんとともに、演劇結社ばっかりばっかりを立ち上げたのが、12年前。 「見えなくても愛」という自伝を書いた河辺豊子(かわべ とよこ)さんを題材にした劇、音声ガイドを描いた劇など、 見ごたえのある劇を世に送り出している劇団です。  その美月さんから、9年前、「共用品」についてのテーマで劇にしたいとの話をもらいました。 はじめに聞いた時には、共用品をテーマに劇が成り立つのだろうかと思いながらも、公演を見ると、最初から笑いっぱなし、 こんなに笑ったのは、いつ以来だろうと思い出せないくらいに笑わせてもらったとともに、共用品は、 眉間にしわをよせて考えるのではなく、よせるのはしわではなく、障害の有無に関わりなく共に知り、共に考え、 共に創るために心を「よせる」ことだと、改めてばっかりばっかりが描くキョウヨウコウザを見ながら、学ばせてもらいました。 舞台での工夫  そして今回の再演。まずは、どんな人が見ても楽しめるために、舞台の大きさや仕様を音と声で、観客に伝えるところから始まります。 そして、それぞれの役者さんが話す言葉は、役者さんが演技をしている舞台の後の壁に吹き出しが表示されるため、 耳の不自由な人も話の中に入っていくことができる仕掛けになっています。 音声ガイドではなく  さらに、テレビや映画では、音声がない場面があり、その情景を目の不自由な人に分かるように副音声、音声ガイドと呼ばれる情報が別途用意されている 場合があります。けれども、ばっかりばっかりでは「別途」を極力、普通・一般化することを目指し、役者さんの通常のセリフの中に情景を知らせる言葉も盛 り込まれているのです。 再演について  今回、日本テレビ小鳩文化事業団の柴田吉彦(しばたよしひこ)常務理事に相談したところ、内部で検討し共催 となっていただき、系列のラジオ、テレビでも紹介していただくことができました。  さて、再演の幕があきました。  共用品推進機構がまだ財団になる前の頃、どうやって共用品を普及させていくかを検討する劇中劇では、 25年前にタイムスリップし、その時の緊張感が思い出されてきました。今回も、心の底から笑わせてもらうと同時に、時には振り返り、自分の やってきたことを整理することも大切だと、ばっかりばっかりのキョウヨウコウザを見て改めて思いました。 星川安之 写真:役者さんと話す吹き出し 9ページ キーワードで考える共用品講座第113講「展示会・イベントと共用品」 日本福祉大学客員教授 後藤芳一(ごとう よしかず)  共用品と展示会・イベントの意義と役割を整理しよう。 1.プル型のコミュニケーション  情報を伝える方法には、受け手との関係で分けるとプッシュ型(①)とプル型(②)がある。  ①は媒体による広告や直接には営業による訪問や電話がある。送り手のタイミングで情報を伝え、 不特定多数の相手に同時に情報提供できる。認知に直接・即効の効果があるが、費用が高く、 受け手は意思に関係なく受け身で情報を得るという性格がある。  ②は媒体はインターネット検索、広告はバナー広告、直接には紹介や口コミとともにイベントや展示会がある。 ①より即効性は薄いがコストが安く、情報提供のタイミングは自由で、受け手が能動的に情報を取りにくる。 受け手も送り手も互いに相手を選ぶ(入口に制約があるが、求める相手に届く)という性格がある。 2.時限で直接の機会  イベントは、期間を限る催しである。体験会、交流会などがあり、展示会はそのうちの1つである。  展示には、目的(W)は情報提供型と商談型、相手(X)は不特定多数と限られた対象者、 場所(Y)は一般に開放された場所と限られた場所、タイミングや期間(Z)は常設、時限、要請を受ける都度行うなどの方法がある。  その結果、具体的には商品の内覧会〈W:商談、X:限定、Y:非開放、Z:時限〉、 展示ルーム(例:社内に商品の歴史を設置、来客向け)〈情報提供または商談、限定、非開放、常設〉、 ショーウィンドウ〈情報提供または商談、対象は不特定、開放、常設〉、 博物館・美術館の常設展〈情報提供、不特定、開放、常設〉、同企画展〈情報提供、比較的特定、開放、時限〉、 業界別の展示会(例:モーターショー)〈情報提供、特定、開放、時限〉、コミケ〈商談、特定、開放、時限〉などがある。 3.不便さ対応の展示会  業界の展示会は商談目的のもの(例:トレードショー)もあるが、福祉用具分野では、 国内外とも長期的に発展しているのは情報提供、体験型(非商談)の展示会である。 情報が不足している、適合するか個別に試す必要がある、選択・購入の決定がトップダウンでは決まらないなどが背景にある。  海外の総合展示会ではREHA展(ドイツ)などが大きく、日本の国際福祉機器展(H.C.R.、毎年秋に東京で開催、 保健福祉広報協会主催)は世界でほぼ3番目とされる。総合展は大阪ほかでも開かれている。 視覚(アメディア)や聴覚(ワールドパイオニア)などの分野に限った展示会もある。  H.C.R.は2019年が46回目、9月25~27日に開かれ、入場は10万5675人であった。 参加者には、福祉施設、福祉用具流通などの業界関係者とともに、リハビリテーションの専門家、 福祉関係の専門学校の学生などとともに、福祉用具の利用者やその家族が来場した。 業界の主要企業は同展に向けて新商品を開発・投入する。 4.共用品の展示とイベント  上の1と2の基準で整理すると、インクル(会員向け機関誌)〈情報提供、特定(会員向け)、開放、定期(隔月刊)〉、 事務局だより〈情報提供、特定(会員向け)、非開放、不定期(ネット配信)〉はプッシュ型である。  共用品推進機構のホームページ〈情報提供、不特定、開放、常設〉、機構事務局内の展示〈情報提供、特定、非開放、常設〉、 折々の催事に協力・出展〈情報提供、不特定、開放、時限〉、法人向け報告会〈情報提供、特定、非開放、定期(毎年1回)〉、 アクセシブル・デザイン・フォーラム(ADF)〈情報提供、不特定、開放、定期(毎年1回)〉、 H.C.R.での企画出展〈情報提供、不特定、開放、定期(毎年1回)〉はプル型である。  共用品の概念が新しかったため、普及や啓発を目的とする展示やイベントが多かった。 普及が進むとともに、テーマ性を設ける(H.C.R.の企画展)、専門家向け(法人報告会)、 意義を論じる(ADR)などの催しが増えている。 10ページ、11ページ 第4回「目が見えない・見えにくい私だから考えついた “とっておきのアイディア”コンテスト」表彰式  令和元年11月3日、「サイトワールド2019」にて、第4回「目が見えない・見えにくい私だから考えついた〝とってお きのアイディア〟コンテスト」の表彰式を開催しました。  今回のコンテストでは、盲学校の部では43名、50作品、一般の部では33名、55作品の応募をいただきました。  アイディアの内容は、盲学校の部では、学習を主体的に深く進めるためのアイディアや、 日常生活をさり気なく支えてくれる夢のあるアイディア、不便さを劇的に解決してくれるユニークなアイディアなど 様々な作品がありました。一般の部では、日常生活の不便さを解消するために、 既存の製品やアイディアにオリジナルを加える作品が多く見られました。  審査は審査員会にて厳正に行い、盲学校の部、一般の部、共に以下の3つの視点から、最優秀賞(盲学校の部1名、一般の部1名)、 優秀賞(各部2名ずつ)、入賞(盲学校の部4名と1団体、一般の部4名)を選定いたしました。 1.夢のあるもの(非現実的なものであるが、夢があり希望が持てるものなど) 2.実現可能性があるもの(実際的であり、製品化可能なもの、あるいは少しの工夫で製品化できそうなものなど) 3.ユニークさ(斬新さ)があるもの(アイディアの内容がユニークであり製品化できたら、楽しみの持てるものなど)  今回、盲学校の部で最優秀賞に輝いたのは、埼玉県立特別支援学校塙保己一学園小学部1年生平山めぐみ(ひらやま めぐみ)さんの作品 「らくらくるーぺ」でした。年少児から小学校低学年の弱視の子供達に使いやすいように考えられた作品でした。  一般の部の最優秀賞は、愛知県丹羽郡の近藤貞二(こんどう ていじ)さんの作品、「手袋になるハンドクリーム」でした。 視覚障害者の日常の不便さを解決し、より多くの人に使いやすくなるものでした。  来年も継続してアイディアコンテストを開催する予定ですが、より具体的で実現可能性が高いものや、 ユニークで斬新でありながら豊かな想像力が感じられるアイディア作品が集まることを期待しています。 *盲学校の部* (優秀賞2作品) 福冨鼓哲(ふくとみ こてつ)さん「ちゅういくん(食事中注意ロボット)」 杉水流さくら(すぎずる さくら)さん「ユニバーサルデザインを活用した飲料」 (入賞5作品) 清水優太(しみず ゆうた)さん「飛行機ベッド」 浜松盲学校3Bチーム「しゃべる自販機」 太田博登(おおた ひろと)さん「どこでも点字ブロック出現白杖」 萩野海羽(はぎの みう)さん「さわれるQRコード」 徳田健太郎(とくだ けんたろう)さん「ともだちたくさんできるかなぁ」 *一般の部* (優秀賞2作品) 伊藤慶昭(いとう よしあき)さん「タッチパネルエイド」 松浦佑美(まつうら ゆみ)さん「クックeye~eyeちゃん~」 (入賞4作品) 加藤寛(かとう ひろし)さん「白杖型傘」 真貝徹志(しんがい てつし)さん「折りたたみ定規NN」 西山金一(にしやま きんいち)さん「コロコロ・スイスイ・楽々の白い杖」 橋本隆夫(はしもと たかお)さん「フットペダル付き拡大読書器」 受賞作品は以下からご覧いただけます。 http://www.kyoyohin.org/ja/exhibition/index.php 森川美和(もりかわ みわ) 写真1:盲学校の部 最優秀賞 平山めぐみさん 写真2:表彰式を終えて~受賞者のみなさんと審査員の皆さんの集合写真~ 写真3:一般の部 最優秀賞 近藤貞二さん 12ページ 共用品・共用サービス ~実験的導入とデザインコード構築~ 大和リース(株) 本社設計推進部(東京)兼TOKYOプロジェクト室設計部 犬飼 正樹(いぬかい まさき)  2019年8月、来る東京オリンピック・パラリンピック競技会場の有明アーバンスポーツパーク内において工事用現場事務所を開設しました。 そこは自転車競技(BMX・スケートボード)が開催される会場の現場事務所として使用し、当社が大会運営用プレハブや観客用座席など 仮設建物の実施設計・施工を行う会場の1つにあたります。  今回の共用品・共用サービスの取り組みとは、この現場事務所にさまざまな共用品・共用サービスの考え方を取り入れる試みで 共用品推進機構様や有識者様のご協力を得て行った活動となります。 なぜ現場事務所に共用品…?  目的は2つあります。1つ目は、社員やご来場者様に共用品・共用サービスの考え方やアイテムを実際に体験していただくことです。 妥当性・有用性の確認を行い、新たな考え方を発見したり、見込み違いのもののやり直しをするなど実験する場として活用します。  2つ目は、この取り組みを通じて今後の当社のデザインコード(規則)を構築するという目的があります。 意見交換会  今回の取り組み過程において、当社と共用品推進機構様、有識者様との意見交換会を3回に亘り開催しました。  さまざまな障がいのある人や、多様なニーズを有する人々にとってのアクセスやエントランス、トイレなどの設備に対して、 障がいの特性別に使いやすさや不便さを顕在化させ配慮する項目を選別していきました。  色に関しては、見つけやすく分かりやすい表現にするために、明度差を広げコントラストを強くすることが重要であり、 サインや内装仕上げを計画する際には工夫が必要となります。  このような考え方を踏まえて生まれた共用品・共用サービスのアイテムは25項目に整理しました。  このアイテムリストはコストをかけなくても配慮できるものと、コストはかかるが必要となるものに分類しているため、 設計段階のものさしになるものと考えています。 従業員の声  完成後、視覚障がいの私と聴覚障がいの社員で視察を行いました。盛り込まれたさまざまなアイテムに対し、 設計者が思いも寄らないところで私たちが不便さを感じるということを共有できるよい機会となりました。  今後、バリアバリュー(障がいを価値に変える)で取り組みを進めていきたいです。 新規事業推進室 長谷川 和美(はせがわ かずみ) まとめ  今後は当社が共用品・共用サービスを含むデザインの先導的な役割を担うことで、 より多くの人々の使いやすさにつながり、少しでもよい世の中になるよう努力していきます。  最後に、今回の機会やご協力いただいた皆さまには心より感謝申し上げます。 写真1:有明工事用現場事務所外観 写真2:有明工事用現場事務所内観 13ページ 欧州と日本の国際福祉機器展の比較から 日本大学藝術学部デザイン学科 長瀬 浩明(ながせ ひろあき)  筆者は福祉用具研究の一環として、9月18日から21日までドイツで開催された国際リハビリテーション・福祉介護機材展「REHACARE INTERNATIONAL」を視察してきました。 これまでにも何度か視察していますが、毎回感じることは会場に集まる当事者、関係者の皆さんがとてもハツラツとしているということ。 会場となっているメッセ・デュッセルドルフのエントランスを抜けてまず目に飛び込んでくるのは、 パラスポーツやユニバーサルゲームのアトラクションのブースで楽しむ人たちです。 その日はメインステージで知的障害の皆さんの柔道のデモが行われていました。そのホールを抜けるといよいよ展示会場です。 ところ狭しと並ぶ福祉用具の数に圧倒されます。特に車いすやシニアカー、杖や歩行器といった移動支援機器の多さには驚かされます。 中でもセグウェイのように二輪で自立走行する電動車いすや自動的にスーツケースのような形に折りたたまれ、車のトランクに入るシニアカーなど、 日本の展示会ではほとんど見かけない乗り物がブースに溢れ、会場内を走り回っていました。 日本の国際福祉機器展(H.C.R.)も毎年様々な製品が展示されていますが、これほど沢山の移動支援機器の展示は見られません。 実際に欧州と日本の福祉機器展の違いは何でしょうか。 そこで、筆者はドイツのREHACARE INTERNATIONALと日本の国際福祉機器展それぞれのWEBサイトに掲載されている出展企業とその製品のデータベースを分析して、 欧州と日本の市場動向の違いを探ることにしました。ただし、欧州と日本のいずれのサイトも独自の製品区分でデータベースが分類されているため、 その製品分類名が一致していないことはお断りしておきます。  さて、ドイツの国際福祉機器展における製品分類ごとの出展企業数は図1のとおりです。 特に顕著なのが車いすと杖や歩行器、福祉車両とその関連の「移動支援」が全体の34%を占めています。 次いで「バリアフリー住宅関連」が11%、「介護用具」と「リハビリ用具」が8%と続きます。 一方、日本の国際福祉機器展における製品分類ごとの出展品目数は図2のとおりです。 最も多いのが「建築、住宅設備」で13%ですが、車いす等の「移動支援」の12%をはじめ、杖や歩行器、福祉車両などの「移動支援」を合計して20%となります。 ここで独断ではありますが、移動支援でも「リフト、移乗用具」は介護用具と見なすと、ベッドや入浴用品とトイレ・オムツを合わせて20%となり、 前述の車いす等の「移動支援」と同率になります。  このように、両展示会のデータを比較すると、明らかな違いとして欧州の「移動支援」が全体の3分の1を占め34%に及ぶのに対して、 日本の「移動支援」が20%に止まっていること、反対に日本の「介護支援」が20%に達するのに対し、欧州では8%程度であることなどの違いがあります。 寝たきりなど要介護度が比較的高い被介護者が多い日本の介護事情を象徴する結果だと思われますが、 できることなら日本も欧州のように移動支援に象徴されるアクティブな「自立支援型」の社会になればいいのにと勝手ながら思うのであります。 みんなが生き生きと暮らせる社会です。 図1 REHACARE INTERNATIONAL 2019製品分類別出展企業数の比較 図2 H.C.R.2019製品分類別出展品目数の比較 14ページ 新規法人賛助会員のご紹介とお知らせ 新たな視点の創造と標準化に取り組みたい グローブシップ株式会社  現在、当社では、従来の枠に留まらない新業態を視野に入れた大きな事業展開を図っています。 そのビジョンは当社が掲げる「戦略FMパートナーのグローブシップ」というキャッチフレーズに集約されています。 その狙いは「顧客企業にとってかけがえのないビジネスパートナーとして、顧客企業の社員が本業に専念し高い生産性を発揮できる環境を提供すること」です。 戦略FMパートナーを目指す  具体的には、これまでの中核業務であった清掃、警備、設備管理業務等に留まらず、顧客の本業以外のあらゆる周辺サービスをワンストップで提供できる体制の整備を進めています。 現代の社会にあっては、建物の長寿命化、省エネ・省資源化は避けて通れない最重要課題であり、 当社は「地球にやさしく、お客様の安全・快適な環境づくりに寄与すること」を企業理念(ミッション)に掲げ、フロントランナーとして地球環境問題にも取り組んでいます。  また現在進出している中国上海に加え、ミャンマー、インドネシアへのグローバル展開の検討、外国人雇用の一層の推進を進めているほか、女性活用、働き方改革、 本社や農園を含めた障害者雇用の積極的推進等に取り組んでいます。  本会への入会を契機として、共用品の視点からビルや施設、サービスを見直すことによって新たな視点が開かれるものと期待しています。 その過程において当社がこれまで蓄積してきた技術やノウハウのうち、社会にとって有益なものについては可能な範囲で標準化し、社会に広めていく努力も必要と考えています。  会員各位のご指導、ご鞭撻の程お願い申し上げます。 写真:「さいたま岩槻ファーム」で野菜を収穫する当社社員。同ファームでは12名(障害者9名、指導者3名)が元気に働いている。 ISO/TC173総会報告  9月8~13日、東京・新宿区の早稲田大学で、ISOの技術委(員会)であるTC173総会が開催された。  通常、総会は1年半に1度開催される。これと同時に、関連する分科会(SC)、ワーキンググループ(WG)会議が開催され、 共用品推進機構が事務局を担当するSC7の総会も行われた。SC7で現在進行中の案件はないが、現状確認と、次に提案する規格案を検討した。  また、JIS S 0043としても発行された「視覚障害の人にも使いやすい取扱説明書」の規格の一部が、福祉用具の国際規格の中の附属書として残ることになり、 その規格を作成しているWG12の会議にも参加した。  JISを基に作成されたアクセシブルデザイン関連国際規格は、現在6件あり、共用品推進機構では、この件数を増やすべく、国内でも障害当事者や関係者と検討を続けている。 写真1:TC173総会 写真2:WG12のメンバー 15ページ 手で見る絵本、手でたどる世界 目の不自由な子どもたちが手で見る学習絵本『テルミ』  日本で唯一の触って読める絵本、目が不自由でも楽しめる点字絵本『テルミ』が誕生したのは1983年、今から30年以上も前のことである。  『テルミ』が誕生した時期は、目の不自由な人向けの製品が少しずつ出てきてはいたものの、 子どもが楽しめる絵本や玩具がほとんどなく、一般に売られているものも、扱うためにはひと工夫が必要であった。  そんな中、学校教育振興事業をはじめ、家庭・社会教育、青少年文化、特別支援教育の振興など、幅広い活動を展開している (一財)日本児童教育振興財団が、すべての子どもたちが平等に絵本に親しめるようにと『テルミ』を企画、販売した。  『テルミ』には、実際に触ることが難しい恐竜や、昆虫、動物、鳥や魚、乗り物などの特徴が、触って分かるように印刷されている。 さらに迷路やクイズ、作って食べようなどもあり、楽しみながら読めたり学べたりできるようにも配慮されている。  また、活字(墨字)が併記されているので、目の不自由な子どももそうでない子も一緒に楽しめるようになっているのがうれしい。 年6回隔月刊(偶数月)A4変形24ページ/1冊400円 年間購読料 2400円(通信販売のみ) 問合せ:03-5280-1501 https://faje.or.jp/terumi/ 写真1:手で見る学習絵本『テルミ』 てんじつき さわるえほん『さわるめいろ 3』  9月に小学館から『さわるめいろ 3』が発行された。スタートの▽(さんかく)に指を添えて、ゴールの〇(まる)を目指してたどる世界は、 目が見えない子どもたちを冒険の世界に誘う。表紙の迷路を合わせると全部で11種類あるが、すべてなかなか難しい。 その分、ゴールにたどり着いた時の達成感は格別である。  目が見える子どもにとってはどうだろうか。大人にとってはどうだろうか。どうやら、障害の有無にかかわらず、 多くの人たちが、この『さわるめいろ』を手にすると夢中になるようだ。 『さわるめいろ』シリーズが最初に発行されたのは2013年で、続編(2)は15年に発行された。 シリーズ最初の書籍は、偕成社・こぐま社・小学館の「3社同時出版企画」の1冊として、発売されたものである。  どのシリーズも迷路を存分に楽しむことができるので、挑戦してみてはいかがだろうか。 定価本体:1900円+税 発売日:2019年9月2日 https://www.shogakukan.co.jp/books/09725011 写真2:てんじつき さわるえほん『さわるめいろ 3』 16ページ イベント 徒然に 【事務局長だより】星川安之  共用品の普及事業を開始した1991年から続けて行っているのが、「知る」を目的とした調査、 「解決」を目的としたガイドライン・標準化、そして「共有する」を目的とした各種イベントです。  今回「イベント」を特集した目的は、調査・標準化で止まってしまうと、普及には繋がらないこと、 そして、行ってきたイベントがどんな種類のものであったかを確認しておくためでもありました。  10年一昔と言いますが、共用品が生まれてからそろそろ三昔になろうとしています。 その時々に関わった人たちも、最初から関わってくれている人たちも既に30年、年齢を重ねてきています。  1993年に銀座ソニービルで行った共用品のイベントは、95年、そして97年の『バリアフリーは銀座から』へと繋がりました。 その時、はじめてイベントを行う時には、商店街の人たちの協力が大きな力になることを学びました。 商店街からのアドバイスで、銀座界隈の飲食店を訪問し、「バリアフリーのイベントで、障害のある方が飲食に多く来られるので、よろしくお願いします」とお願いした時に、 どの店も嫌な顔一つしなかったことや、階段だけでも、「入店時にはお客さんに手伝ってもらい、車椅子使用者を店に招き入れていること」も、その時知ったことです。 今でいう「合理的配慮」が、誰から命じられるわけではなく、すでに銀座の街にはあったのです。  また、事業が発展したことで、韓国、イタリア、ベトナム、台湾、ドイツでも共用品の展示をする機会にめぐまれ、そのたびに新たな発見や工夫を、みつけることができました。  さらに、郵便局のバリアフリーの応対マニュアルから始まり、公共窓口、銀行、万博へと広がったイベントでの応対方法は、 2020年東京オリピック・パラリンピックのアクセシビリティガイドにもそのエキスが繋がっています。 イベントは、単発で行うだけでなく、そこでの工夫が繋がって、より効果をあげると改めて思いました。 共用品通信 【イベント】 国際福祉機器展に出展(9月25~27日) 本の街で、こころの目線を合わせる 第2回(9月13日、まい) 本の街で、こころの目線を合わせる 第3回(10月11日、乃樹愛) 【会議】 ISO/TC 173総会(9月8~13日、金丸) 第1回公共トイレにおける良かったこと調査委員会(10月2日) 第2回相互乗り入れ講座(10月3日) 【講義・講演】 共用品授業 練馬区立豊玉小学校(9月20日、森川) 共用品授業 港区立芝浦小学校(10月7日、森川) 社会事業家 100人インタビュー(10月9日、星川) 共用品講座 八千代市福祉センター(10月10日、森川) コンビニと共用品(10月11日、星川) 共用品授業 千代田区立九段小学校(10月15日、森川) 共用品授業 練馬区立南町小学校(10月17日、森川) 日本福祉大学スクーリング(10月19・20日、星川、森川) 青消研 共用品講座 (10月25日、星川) 【報道】 日本経済新聞 「共用品」(9月21日) 時事通信社 厚生福祉(9月10日)冊子「認知症の理解と介護」 時事通信社 厚生福祉(9月20日)さりげなく伝わる社会の「?」 時事通信社 厚生福祉(10月1日)EBハッピー(育児)パッケージ トイジャーナル10月号 東京都障害者IT機器地域支援センター トイジャーナル11月号 イーちゃんの白い杖 アクセシブルデザインの総合情報誌 第123号 2019(令和元)年11月25日発行 "Incl." vol.20 no.123 The Accessible Design Foundation of Japan (The Kyoyo-Hin Foundation), 2019 隔月刊、奇数月に発行 編集・発行 (公財)共用品推進機構 〒101-0064 東京都千代田区神田猿楽町2-5-4 OGAビル2F 電話:03-5280-0020 ファクス:03-5280-2373 Eメール:jimukyoku@kyoyohin.org ホームページURL:http://kyoyohin.org/ 発行人 富山幹太郎 編集長 山川良子 事務局 星川安之、森川美和、金丸淳子、松森ハルミ、田窪友和 執筆 犬飼正樹、後藤芳一、長瀬浩明、グローブシップ㈱ 編集・印刷・製本 サンパートナーズ㈱ 表紙 十人十色展 本誌の全部または一部を視覚障害者やこのままの形では利用できない方々のために、非営利の目的で点訳、音訳、拡大複写することを承認いたします。 その場合は、共用品推進機構までご連絡ください。 上記以外の目的で、無断で複写複製することは著作権者の権利侵害になります。